ブレーキパッドとは、車のスピードを制御する重要なパーツです。ブレーキパッドの摩耗が進むと制動力が低下し、ブレーキの利きが悪くなってしまうため危険です。ここでは、ブレーキパッドの交換時期の見分け方や交換費用の目安、交換費用を安く抑える方法についてご紹介します。
目次
ブレーキパッドの交換時期の見分け方
ブレーキパッドに明確な交換時期は定められておらず、車種や普段の走り方によって適切な交換時期は異なります。しかし、ブレーキパッドの適切な交換時期を見分ける方法はあります。その方法とはどのようなものなのか、詳しく解説していきます!
ブレーキパッドの厚さで見分ける
新品のブレーキパッドは、約10mmの厚さのものが一般的です。このブレーキパッドの残りの厚さがどれくらいなのかによって、適切な交換時期を判断することができます。
厚さ | 交換時期の判断目安 |
---|---|
5mm以下 | 次回の車検・点検のタイミングで交換を検討 |
3~2mm以下 | 適切な交換時期 |
1mm以下 | 突然ブレーキの利きが悪くなる恐れがあるため、早急に交換が必要 |
ブレーキパッドの残りが0mmになるとブレーキが全く利かなくなり、命に関わる事故につながる恐れがあるため、大変危険です。ブレーキパッドの厚みは定期的に確認しておくようにしましょう。
パッドウェアインジケーターの音で見分ける
ブレーキパッドにはパッドウェアインジケーターという機能があり、ブレーキパッドの残りが少なくなると、音やランプで知らせてくれます。このパッドウェアインジケーターには機械式と電気式の2種類があり、それぞれ知らせ方が異なります。
- 機械式 ブレーキパッドに取り付けられた金属片がローターに接触し「キーキー」という音が鳴る
- 電気式 ブレーキパッドに取り付けられた電線が断線し、インパネのブレーキ警告灯ランプが点灯する
一般的な国産車は機械式、高級国産車や輸入車には電気式が採用されていることが多いです。
また、「キーキー」ではなく、「カラカラ」や「ゴー」といった音がする場合は要注意です。「カラカラ」という音がする場合はブレーキパッドが割れている可能性が高く、「ゴー」という音がする場合は、高温で溶けた摩材などがブレーキパッドに付着している可能性があります。ブレーキ周辺から何か異音がすると感じたら、すぐに点検を受けるようにしましょう。
走行距離で見分ける
ブレーキパッドは、1万kmの走行で約1mmすり減ると言われています。しかし、すり減ったブレーキパッドは熱を持ちやすく、熱を持ったブレーキパッドはさらにすり減りやすくなるため、普通車が3~4万km、軽自動車が4~5万kmの走行で、ブレーキパッドの残りの厚さが5mm以下になっていると考えていいでしょう。この走行距離になると必ずブレーキパッドを交換しなくてはならないということはありませんが、ブレーキパッドの残りの厚さを確認する目安になります。5万km以上走行している場合は、ブレーキパッドの摩耗がかなり進んでいる可能性が高いので、走行距離が5万kmに到達するより前に、ブレーキパッドの残りの厚さを確認することをおすすめします。
ブレーキフルードの残量で見分ける
ブレーキフルードとは、ブレーキペダルを踏むことで発生した圧力をブレーキキャリパーに伝えるために必要なオイルのことです。ブレーキパッドがすり減ってくるとブレーキフルードの消費量も多くなるため、ブレーキフルードを確認することで、ブレーキパッドの状態をある程度把握することができます。
ブレーキフルードの残量は、ボンネット内のエンジンルームにあるリバーザータンクで確認することができます。このリバーザータンクにはMIN(もしくはLOWER)、MAX(もしくはUPPER)の目印が付いているので、黄色っぽい液体がその目印の中に収まっているかを確認しましょう。液体がMINに近づいていると、ブレーキパッドの残量が少ないと判断することができます。ブレーキフルードの補充と同時に、ブレーキパッドの交換も行うようにしましょう。
注意
この方法は、ブレーキパッドとブレーキフルードの交換を同時に行っている場合のみ使うことができます。
ブレーキパッドの交換費用
ブレーキパッドの交換時期の見分け方についてお話ししました。では、ブレーキパッドの交換にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
ブレーキパッドの本体費用
ブレーキパッドの本体費用の相場は下記のとおりです。
- 普通車 フロント、リアで各8,000円程度
- 軽自動車 フロント、リアで各7,000円程度
スポーツカーや輸入車、高級車のブレーキパッドはさらに高額になることもあり、フロント、もしくはリアのみで5,000~7,000円ほどすると考えていいでしょう。また、高性能なブレーキパッドや大きな車両のブレーキパッドの場合は、15,000円を超えることもあります。
ブレーキパッドの交換工賃
ブレーキパッドの交換を整備工場などに依頼した場合、工賃が発生します。この工賃は車種や依頼する整備工場などによって異なり、左右2箇所で6,000円前後のところもあれば、1箇所で5,000円ほどかかるところもあります。また、スポーツカーや輸入車、高級車の場合は、ブレーキパッドの本体費用だけでなく、この工賃も高額になる可能性が高いです。複数の修理工場などで一度見積もりを出してもらうことをおすすめします。
ブレーキパッドの交換費用を安くするには?
ブレーキパッドの本体費用に加え、工賃もかかるとなると、ブレーキパッドの交換費用は決して安い金額ではありません。ここからは、ブレーキパッドの交換費用を安くするための方法について詳しく解説していきます。
カー用品店で交換する
ディーラーではなくカー用品店にブレーキパッドの交換を依頼することで、交換費用を安く抑えることができます。これは、カー用品店が純正品ではなく社外品を使うためです。また、ディーラーは自社で修理を請け負ってくれることもありますが、提携している修理工場に依頼する可能性もあり、その場合工賃も高くついてしまいます。しかし、カー用品店によっても費用は異なるため、いくつかの店舗で見積もりを出してもらい比較することで、より交換費用を安く抑えることができます。
車検や点検時にブレーキパッドを交換する
車検や12ヶ月点検のタイミングでブレーキパッドを交換してもらうことで、ブレーキパッドの交換のみの場合よりも交換工賃を安く抑えることができます。その理由は、車検や12ヶ月点検時にリフトアップしてタイヤを外すついでに、ブレーキパッドの交換を行うことができるためです。ブレーキパッドの交換のみの場合は、交換のためだけにリフトアップしてタイヤを外す必要があるため、工賃が高くついてしまうのです。また、2箇所の交換の場合も4箇所の交換の場合も、工賃はほぼ同額であることがほとんどなので、前後輪同時に4箇所交換する方が費用を安く抑えることができます。
社外品のブレーキパッドを使用する
社外品のブレーキパッドは純正品よりも安い価格で販売されており、中には純正品の半額程度の価格のものもあります。純正品の方が性能がいいように感じる方も多いかと思いますが、純正品よりも高性能な社外品も存在し、社外品のブレーキパッドを購入し、修理工場などに持ち込んで交換してもらう人も数多く存在します。一度社外品のブレーキパッドを試してみてはいかがでしょうか。
自分で交換する
法律上、「点検整備記録簿」に記入することを条件として、車の所有者が自分の車のブレーキパッドを交換することは可能です。自分でブレーキパッドの交換を行った場合、工賃はかからず、ブレーキパッドの本体費用だけで済むため、費用をかなり安く抑えることができます。しかし、ブレーキパッドは車の中でもかなり重要な部品であるため、自分で交換するのは危険であるとも言えます。また、ブレーキパッドの交換が失敗し、最終的に修理工場やディーラーに輸送料を支払って持ち込みすることになると、費用が余計にかさんでしまいます。車の整備に自信がある方や、車の整備に仕事で関わっていたという方以外は、カー用品店や修理工場に交換作業を依頼することをおすすめします。
注意
他人の車のブレーキ周辺を整備することができるのは、有整備資格者のみです。そのため、有整備資格者以外は、友人などの車のブレーキパッドを交換することはできません。
まとめ
ブレーキパッドは車の中でもかなり重要なパーツのため、摩耗が進んだ状態で走行を続けると、命に関わる事故につながる恐れもあります。ご紹介した交換時期の見分け方を参考に、適切に交換するようにしましょう。また、車のエンジン回りを修理・交換した後にブレーキ回りや電気系統の故障が起こった場合、修理費用がかなり高額になる可能性が高いです。そうなる前に定期的な点検を行い、パーツの交換や修理を行うことが重要ですが、走行距離が長かったり、年式が古い車の場合は、メンテナンス費用がどうしても高くなってしまいます。そういった場合は、乗り換えを検討してみてもいいかもしれません。廃車買取業者であれば、走行距離が多い車や年式が古い車、パーツに不具合がある車でも買い取ってくれることがあります。ぜひ一度、査定してもらってはいかがでしょうか。