1998年の消防法改正により、ドライバーが自ら車に給油をすることができるようになりました。
給油はセルフでするのが当たり前になった人も多くいる一方で、不安を感じてまだ一度も利用したことがない方もたくさんいらっしゃるかと思います。セルフ給油の手順や注意点などをご紹介しますので、セルフ給油を安全に行うための参考にしてみてください。
ガソリンスタンドのセルフ給油について
車の燃料となっているガソリンは、マイナス40℃でも気化するとても引火しやすい液体です。衣服の摩擦などによって起こるわずかな静電気でも、爆発の原因となることがあります。
そんな危険物を自分で車に入れるとなると、恐怖心を抱く人も少なくないかもしれません。しかし、そんな危険そうなセルフ給油ですが、利用者は年々増加しています。その増加の理由や、どうやってセルフ給油を行うのか、手順を見ていきたいと思います。
セルフ式ガソリンスタンドは増加傾向に…
ガソリンスタンドの総数は減りつつありますが、反対にセルフ式のガソリンスタンドは増加傾向にあるようです。ガソリンの需要が減少している理由として、車の燃費が良くなったことと、ハイブリッドカーや電気自動車などのエコカーが増加していることが挙げられます。
さらに、ガソリンスタンドに設置されている地下タンクは、漏れ防止の目的で40年以上経過すると、改修か交換することが義務付けられました。改修や交換にはかなりの費用がかかるため、廃業を選ぶガソリンスタンドも少なくないようです。
一方で、セルフ式のガソリンスタンドの増加の理由は、ガソリンスタンドのスタッフに給油してもらう従来の給油より、セフル給油の方が価格が安いことが挙げられます。また、ガソリンスタンド側も少ない店員数で対応できるため人件費を下げられるというメリットがあり、セルフ式のガソリンスタンドが増えているようです。
セルフ給油の手順
一般的なセルフ給油の手順を見ていきたいと思います。
簡単な流れ
給油機の横に車を停めてエンジンを切る
(※)
気化ガスが車内に入るのを防ぐため窓とドアは閉める
給油口のフタを開ける
タッチパネルでガソリンの種類・量(または金額)を選ぶ
静電気除去シートを必ずさわる
給油口の中にあるキャップを手で開ける
給油機から給油ノズルを外し、給油口に差し込む
(※)
ガソリンの種類によってノズルの色が異なります
給油ノズルのレバーを引いて給油開始
給油が終了したら、レバーから手を放しノズルを戻す
給油口のキャップとフタを閉める
(※)
キャップはカチッというまでしっかりと閉める
料金清算
という流れになります。慣れないうちは手間取るかもしれませんが、覚えてしまえば簡単です。
セルフ給油を行う際の3つの注意点
セルフ給油の流れはそれほど難しくはないことがおわかりいただけたと思います。それでは次に、事故を起こしてしまうことなく、安全にセルフ給油を行うための注意点を見ていきたいと思います。
自分が入れようとしている車に合ったガソリンの種類を確認する
いつも乗っている自分の車なら燃料の種類を間違えることはないかもしれませんが、友人の車やレンタカーなどに給油をする際は、燃料の間違いがないか給油前に確認するようにしてください。
軽油は軽自動車用の燃料だと勘違いされる方もいらっしゃるようです。軽油はディーゼルエンジン用の燃料ですので、絶対に間違わないようにしてください。また、給油ノズルの色は法令で定められていて、どこのガソリンスタンドでも同じ色が使われています。
給油ノズルの色
ハイオク:黄色いノズル
レギュラー:赤いノズル
軽油:緑色のノズル
エンジンは必ず切る
ガソリンは気化しやすいため、少しの静電気などでも火災が起きてしまいます。エンジンをかけたまま給油をすることは火災の危険があり、法律でも禁止されています。必ずエンジンを切ってから給油を行ってください。
静電気除去シートに触れる
給油機本体には静電気除去シートがついています。静電気はちょっとした動作、衣服の摩擦によって発生してしまいます。引火を防ぐために必ず給油前には静電気除去シートに触れるのを忘れないでください。
セルフ給油中に守りたい5つの注意点
では、次にセルフ給油を行う際・給油中に気をつけるべき注意点をご紹介します。ガソリンの扱いは間違えてしまうと大惨事を起こしてしまいます。
給油ノズルを確実に給油口へ挿入する
給油ノズルの挿入が浅いと、オートストップ機構がうまく作動しないことがあります。吹きこぼれの原因にもなり危険ですので、確実に差し込むようにしてください。
火気厳禁
給油中もガソリンは気化しています。エンジンを切るのと同じで、引火を防ぐために、喫煙などは絶対に行わないでください。
給油作業は最後までひとりで行う
給油が終わって料金の清算に行っている間に、同乗者が代わりに給油口のキャップを閉めたことで出火した事例もあります。原因は空気の乾燥と冬場の重ね着による静電気が原因とされています。給油作業は必ず最後まで1人で行ってください。
ポリタンクに給油しない
ガソリンスタンドにわざわざ行くのも面倒なので、ポリタンクに入れて保管しておきたいと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ポリタンクにガソリンを入れるのは非常に危険で、ポリタンクの変形や、ポリタンク内で気化したガソリンが爆発する可能性もあります。ガソリンをポリタンクに入れて持ち帰ることは絶対にしないでください。
自動停止後の追加給油はしない
燃料タンクが満タン状態になると給油が自動でストップします。ストップした後でも給油レバーを引けば再び給油はできますが、ガソリンが溢れることもありますので、追加給油はしないでください。
セルフ給油中に吹きこぼれてしまったら
セルフ給油の過去の実態調査において、セルフスタンドの95.5%で吹きこぼれが発生したことがあるという結果が出ました。セルフ給油中の吹きこぼれが引火を起こしてしまうと、非常に危険です。
どうして吹きこぼれは起こってしまうのでしょうか?また、吹きこぼれた際の対処法もご紹介したいと思います。
オートストップ(満量停止装置)が作動しない場合がある
セルフ給油中のガソリンの吹きこぼれを防止するために、給油機にはオートストップ(満量停止装置)というのが備わっています。その機能が正常に働けば、吹きこぼれが起こることはないのですが、オートストップがうまく作動しないことがあります。
給油ノズルの挿入が浅い
給油ノズルが奥まで確実に差し込まれていないと、給油ノズルの内部にあるセンサーが作動せずにオートストップが作動しないことがあるようです。給油ノズルはしっかり挿入するようにしてください。
給油ノズルのレバーの握り方が弱い
給油レバーの握りが弱く、給油されるガソリン量が少しずつになると、オートストップがうまく作動しないことがあるようです。給油ノズルのレバーはしっかり強く握るようにしてください。しかし、給油の最初からレバーを強く引いてしまうと、空気の泡が出て安全装置が作動し、給油がストップしてしまうようです。入れ始めだけはレバーを弱めに引くようにしてください。
ガソリンが吹きこぼれてしまった場合の対処法
もしセルフ給油中にガソリンが吹きこぼれ、皮膚についてしまった場合は、すぐに水と石鹸でよく洗い流してください。また、口や目に入ってしまったら、きれいな水で洗浄し、速やかに医師の手当を受けてください。
車のボディーやタイヤなどについてしまった場合は、タオルで拭き取り、水で洗い流すようにしてください。
セルフ給油は怖いと思ってる方も、まだたくさんいらっしゃるかと思います。しかし、守るべきことをちゃんと守っていれば、安全にできるものです。
特に冬は乾燥していて、静電気を帯びやすくなります。セルフ給油を行う際は、静電気対策を忘れずに行うようにしてください。