日産自動車と三菱自動車は、2022年5月20日に共同で開発した「100%電気で走る軽の電気自動車」を発表し、6月16日から販売が開始されました。発表からわずか3週間で、日産「サクラ」が約1万1,000台、三菱「ekクロスEV」が約3,400台の受注を獲得するなど、早くも高い人気を得ています。
こちらでは、日産「サクラ」と三菱「ekクロスEV」の特徴や違い、それぞれのスペック、補助金についてなど、軽EVについて詳しく解説していきます。
目次
「サクラ」「ekクロスEV」の特徴
共同開発された日産「サクラ」と航続距離「ekクロスEV」ですが、どのような特徴があるのでしょうか。充電機能や航続距離などを詳しく見ていきましょう。
充電機能
「サクラ」と「ekクロスEV」は、200Vの普通充電とCHAdeMOの急速充電に対応しています。バッテリーの残量警告灯が点灯してから、普通充電の場合は約8時間で100%まで、急速充電の場合は約40分で80%までの充電が可能となっています。また、バッテリーに蓄えた電力は、V2L(電気を取り出す仕組み)によってキャンプでの電源としてや、2H(住宅へ給電する仕組み)で家庭用の電力として使用することもできます。非常時に電源として使用することも可能で、約1日分の電力を賄うことができます。さらに、両車にはエアコン冷媒を用いたバッテリー冷却システムも備わっているため、充電量の低下を抑制することができます。
航続距離
「サクラ」と「ekクロスEV」のパワートレインのスペックに違いはなく、両車ともバッテリー容量は20kW、航続距離はWKTC走行モードで最大180kmです。1日あたりの走行距離が30km程度の場合、日曜の夜に満充電にしておくことで、月曜日から金曜日までの間は充電せずに使用することができます。
最高速度は130km/h、駆動用モーターは最高出力47kW、最大トルクは195Nmで、一般的な軽自動車のターボエンジンと比べ、最大トルクが約2倍にもなります。
「サクラ」「ekクロスEV」のスペック
「サクラ」と「ekクロスEV」のスペックを、それぞれのグレードごとに見ていきましょう。
日産「サクラ」
グレードX
価格:2,399,100円
電力消費量:
WLTCモード124 Wh/km
市街地モード100 Wh/km
郊外モード113 Wh/km
高速道路モード142 Wh/km
一充電走行距離:180km
主要装備:
IRカット&スーパーUVカット断熱グリーンガラス〈フロントドア〉
フロントセンターアームレスト
ファブリック調インストパネル
インテリジェント エマージェンシーブレーキ
シート地 トリコット
踏み間違い衝突防止アシスト
ボディカラー:
ブロッサムピンク/ブラック 2トーン
ソルベブルー/チタニウムグレー 2トーン
暁-アカツキ-サンライズカッパー/ブラック 2トーン
ホワイトパール/チタニウムグレー 2トーン
ブラック
スターリングシルバー
スパークリングレッド
アッシュブラウン
ソルベブルー
ホワイトパール
グレードG
価格:2,940,300 円
電力消費量:
WLTCモード124 Wh/km
市街地モード100 Wh/km
郊外モード113 Wh/km
高速道路モード142 Wh/km
一充電走行距離:180km
主要装備:
インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)
シート地 トリコット・カッパー加飾〈インストパネル、ドアフィニッシャー〉
クリアブラックシールド
EV専用NissanConnectナビゲーションシステム(地デジ内蔵)(9インチワイドディスプレイ、ハンズフリーフォン、VICS(FM多重)、ボイスコマンド、Bluetooth(R)対応、USB接続、Apple CarPlay・Android Auto(TM)連携機能、AM/FMラジオ、NissanConnect
プロパイロット
ボディカラー:
ブロッサムピンク/ブラック 2トーン
ソルベブルー/チタニウムグレー 2トーン
暁-アカツキ-サンライズカッパー/ブラック 2トーン
ホワイトパール/チタニウムグレー 2トーン
スパークリングレッド/ブラック 2トーン
チタニウムグレー/ブラック 2トーン
フローズンバニラパール/ブラック 2トーン
ソルベブルー/ブラック 2トーン
ホワイトパール/ブラック 2トーン
ブラック・スターリングシルバー
スパークリングレッド
アッシュブラウン
ソルベブルー
ホワイトパール
「サクラ」は2代目以降の車として使用する、もしくは以前から電気自動車に興味を持っていたガソリン車のオーナーからの受注が多くなっています。
受注の約4割近くが上位グレードとなる「G」となっており、7割以上が「アラウンドビューモニター」を装着しているということです。(Gは標準装備)
また、ボディカラーはホワイトパールが一番人気となっており、次いでサンライズカッパー/ブラックの2トーン、ホワイトパール/チタニウムグレーの2トーンとなっています。
三菱「ekクロスEV」
グレードG
価格:2,398,000円
電力消費量:
WLTCモード124 Wh/km
市街地モード100 Wh/km
郊外モード113 Wh/km
高速道路モード142 Wh/km
一充電走行距離:180km
主要装備:
155/65R14タイヤ+14インチスチールホイール(フルホイールカバー付)
7インチカラー液晶メーター
イノベーティブペタルオペレーションモード
ブレーキオートホールド
電動パーキングブレーキ
ボディカラー:
ミストブルーパール/カッパーメタリック 2トーン
ホワイトパール/ブラックマイカ 2トーン
レッドメタリック/ブラックマイカ 2トーン
ナチュラルアイボリーメタリック/カッパーメタリック 2トーン
オークブラウンメタリック/ナチュラルアイボリーメタリック 2トーン
ミストブルーパール
オリーブグリーンメタリック
ナチュラルアイボリーメタリック
レッドメタリック
ブラックマイカ
グレードP
価格:2,932,600円
電力消費量:
WLTCモード124 Wh/km
市街地モード100 Wh/km
郊外モード113 Wh/km
高速道路モード142 Wh/km
一充電走行距離:180km
主要装備:
ルーフスポイラー※ルーフレールはメーカーオプション
LEDフロントフォグランプ
ホイールアーチ(ブラック)
165/55R15タイヤ+15インチアルミホイール
電動格納式ヒーテッドドアミラー(カラード)
9インチスマートフォン連携ナビゲーション
7インチカラー液晶メーター
ステアリングヒーター
運転席&助手席シートヒーター(座面)
イノベーティブペタルオペレーションモード
ブレーキオートホールド
電動パーキングブレーキ
SOSコールスイッチ※MITSUBISHI CONNECTの契約が必要
USBポート Type-A&C
バニティミラー(助手席)
ボディカラー:
ミストブルーパール/カッパーメタリック 2トーン
ホワイトパール/ブラックマイカ 2トーン
レッドメタリック/ブラックマイカ 2トーン
ナチュラルアイボリーメタリック/カッパーメタリック 2トーン
オークブラウンメタリック/ナチュラルアイボリーメタリック 2トーン
ミストブルーパール
オリーブグリーンメタリック
ナチュラルアイボリーメタリック
レッドメタリック
ブラックマイカ
受注の約6割が上位グレードである「P」となっており、その内の9割近くが「マイパイロットパーキング」などを含む、パッケージメーカーオプションの「先進安全快適パッケージ」装着車です。「P」の場合、いくつかのオプションは標準装備となりますが、マイパイロットはメーカーオプション扱いとなるため注意が必要です。
「サクラ」と「ekクロスEV」の違い
「サクラ」は上位グレード「G」に運転支援機能が標準装備されていますが、「ekクロスEV」の上位グレード「P」には標準装備されておらず、オプション扱いとなります。その代わり、「ekクロスEV」には「サクラ」ではオプションとなっている15インチアルミホイールや、AC200Vの充電ケーブルが標準装備されています。車両価格はほぼ同格のため、欲しい装備を基準に選ぶのもいいかと思います。
さらに、「サクラ」と「ekクロスEV」はデザインが大きく異なります。「サクラ」は、日産が販売しているクロスオーバーEVの「アリア」と同じく、電動化を象徴する「Vモーショングリル」とエンブレムによって、日産のBEVであることが一目で分かるデザインとなっています。開発関係者によると、サクラは軽のサイズではあるものの、日産のバッテリーEVラインナップのベースを支える車と考えて欲しいとのことで、日産で販売されている軽自動車の「デイズ」と共通しているのはウインドウ程度であるなど、差別化が図られています。
一方で、「ekクロスEV」は、三菱のekシリーズの一員であるという考え方でつくられているため、外観は「ekクロス」とほぼ同じです。三菱は、軽ガソリン車と軽BEVを特別な区別をせずに選んで欲しいという思いで、ekシリーズの派生モデルとして位置づけたとのことです。
交付される補助金
「サクラ」と「ekクロスEV」は、令和4年度補正予算「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」の対象となります。補助金がいくらもらえるのか、どのような仕組みなのかを見ていきましょう。
クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金
令和4年度のCEV補助金は、令和4年度当初予算「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」という名称で公募されます。令和4年4月28日から申請受付が開始され、「サクラ」や「ekクロスEV」などの軽EVは55万円が交付されます。この補助金交付金額は、令和3年度のCEV補助金の約2倍となっているため、お得に電気自動車を購入することができます。
地方自治体から交付される補助金
CEV補助金は国からだけでなく、各地方自治体からも受け取ることができます。ただし、自治体ごとに補助金の金額が異なるため、確認しておく必要があります。補助金の金額が一番高いのは東京都で、45万円の補助金が交付されます。自治体によっては5万円のところなどもあり、補助金の金額は自治体ごとに大きく異なります。国からの補助金と地方自治体からの補助金を合わせた金額を計算し、実際に車をいくらで購入することができるのかを確認しておきましょう。
補助金は早いもの勝ち!?
CEV補助金は、車の購入後に別途申請が必要になります。車を購入するだけで自動的に交付されたり、購入時に車両価格から差し引かれるものではないため、注意が必要です。また、補助金の申請書受付期間は令和5年3月1日までとなっていますが、国の補助金、自治体の補助金ともに早い者勝ちとなっており、予算上限を超えると交付申請の受付が終了してしまいます。EVへの乗り換えを検討している方は、補助金の交付を受けられる内に、早めの購入をおすすめします。
まとめ
発表から約3週間しか経っていないにもかかわらず、既に高い人気を得ている日産「サクラ」と「ekクロスEV」。補助金でお得に購入することができるため、補助金が予算上限に達してしまう前に購入することをおすすめします。「サクラ」と「ekクロスEV」には装備の違いやデザインの違いなど、それぞれ特徴があるため、何を重視するのかなどを考えて選ぶといいかと思います。
また、ホンダ、スズキ、ダイハツも令和7年までには軽EVを投入する予定となっています。これから軽EVの需要はどんどん拡大していくものと思われるため、お得に購入できる内に、検討してみてはいかがでしょうか。