最近では各自動車メーカーが、ガソリン車以外のハイブリッド車や電気自動車の製造・販売に力を入れている様子ですが、その流れから行くと近い将来、ガソリン車には乗れなくなってしまうのでしょうか?世界でのガソリン車廃止に関する動きがどうなっているのかが気になるところです。また、ガソリン車が廃止されたらどんな車に乗ればいいのでしょうか?菅政権が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦と世界各国でガソリン車廃止が挙げられている理由について、また各国の取り組みについてコチラの記事では詳しく解説していきたいと思います。
目次
ガソリン車廃止は国を挙げての取り組み
地球温暖化が原因でゲリラ豪雨などこれまでにない大きな被害をもたらす災害が頻繁に起こるようになりました。地球温暖化の原因となっている二酸化炭素はガソリンを燃やすことによっても排出されますので、ガソリン車廃止の声が出てくるのは当然なのかもしれません。では、国や自治体はどういった取り組みを行おうとしているのでしょうか?
2030年代にガソリン車は廃止に?
日本政府が2030年代にガソリン車の新車販売をゼロにするという目標を検討していることが明らかになりました。これは2020年10月に菅総理大臣が「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と宣言したのがきっかけになりました。社会全体として、石油や石炭ではなく風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーにシフトし、また二酸化炭素を資源としてリサイクルするといった取り組みを進めていこうとする政策の一環となっています。
現段階では、ガソリン車の「新車」の販売をゼロを目標にするというだけで、今乗っているガソリン車が2030年代に乗れなくなるというわけではありません。
東京都もガソリン車廃止を宣言
2020年12月、東京都知事も2030年までに都内でのガソリン車(乗用車)の新車販売をゼロにする方針であることを明らかにしました。具体的な取り組みについてはまだ決まっていないようですが、自動車メーカーと連携しながら、ガソリン車から電気自動車など二酸化炭素を排出しない車への乗り換えを促していくそうです。国だけでなく東京都もガソリン車廃止に向けて動き出したということは、他の自治体でもそういう動きが今後出てくる可能性がありそうです。
世界でのガソリン車廃止の動きは?
日本国内では国を挙げてガソリン車廃止に向けて動き出していますが、海外の他の国ではどういった動きがあるのか見て行きたいと思います。また、国の方針を受け、国内の自動車メーカーはどういった取り組みをしていこうとしているのでしょうか?
世界5ヶ国のガソリン車廃止の動き
地球温暖化は地球規模での問題となっていますので、諸外国でも対策を打ち立てているようです。ガソリン車やディーゼル車を廃止する動きをいくつかご紹介したいと思います。
イギリス
2030年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止。イギリス政府は50,000ポンド以下のプラグイン車両に最高3,000ポンドの補助金を出しており、この政策は2023年まで続けられる予定です。
ノルウェー
2025年にハイブリッド車を含むガソリン車とディーゼル車の販売を禁止。”ゼロエミッション”(排出のない、つまり100%電気自動車)を目指し国全体が動き出している
フランス
2035年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止。2040年以降は、電気自動車などクリーンエネルギーを使った自動車のみ販売を認めるとの事になっているようです
中国
2050年頃を目途にガソリン車の新車販売を禁止。すでに中国では、2019年から規制開始しており目標は、ハイブリッド車の比率を2030年までに全ガソリン車の75%に、2035年までに100%を掲げています。
アメリカ
2035年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止。バイデン氏は国全体で50万基以上の電気自動車用充電ステーションや150万戸のエネルギー効率が良い住居を建設するとしています。
日本を含め他の国も2030年代にはガソリン車やディーゼル車の新車販売を禁止にしていきたいと考えているようですね。特にヨーロッパは環境問題に積極的に取り組んでいますので、ガソリン車廃止の取り組みも当然力を入れているようです。こういった目標は政府が発表するものですが、自動車メーカーはどういった反応なのか気になるところです。国内自動車メーカーの反応を少しご紹介したいと思います。
国内自動車メーカーの反応
トヨタは、今後も電気自動車の拡充を図り、2020年代には10種類以上を揃える考えを持っているようです。また、日産自動車は2020年代前半には世界での電気自動車やハイブリッド車の販売台数を、100万台にするという目標を掲げているそうです。さらに、国内での新車販売のうち電気自動車の比率を60%に引き上げる予定とのことです。しかしそうは言うものの、国内の自動車業界の動きのカギとなるトヨタは、ガソリン車ゼロの目標は「大変難しいチャレンジ」とも言っているようです。
国内のエネルギー政策を根本から変えなければ国内では車を製造できなくなったり、全乗用車が電気自動車になった場合、出荷前の検査で、大量の二酸化炭素を排出する火力発電に頼らざるを得なくなるとも話しているそうです。国が打ち立てた目標はとても素晴らしく地球環境には必要なものかもしれませんが、実現には課題が多く残りそうです。
ガソリン車廃止後は結局何に乗れるの?
今から15年後などの、そう遠くない将来、自動車販売店にはガソリンだけで動く新車はもう姿を消しているということですが、では、ガソリンだけで動く車以外にはどういったタイプの車があるのでしょうか?今あるタイプを見ていきたいと思います。
現在考えられる4つのタイプ
現段階ではガソリンを使用せずに乗ることが出来る車というのは以下の4タイプとなっております。今後ガソリン車が廃止となると必然的に電気自動車が多くとなると思われますが、電気自動車への完全移行までには時間がかかりますよね。ガソリン車廃止になるまでの間どのように自動車は進化してゆくのでしょうか。
ハイブリッド車(HV)
ハイブリット車はエンジンとモーター2つの動力で動く車です。ハイブリッド車と聞いて真っ先にトヨタのプリウスを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?ハイブリッド車は、エンジンとモーターの2つを搭載し、通常走行時はエンジン主体、発進・低速時はモーターのみなど、効率よく使い分けて低燃費を実現している車になります。ハイブリット車は多くの方がご存知ですが、やはりガソリンが必要となってしまうので今後ハイブリット車も廃止とする国は多いようです。
電気自動車(EV)
名前の通り電気で動く車です。電気自動車は、車載バッテリーを充電し、その電力でモーターを動かして車を走らせます。ガソリンを一切使わず電気だけで走るので、二酸化炭素の排出もゼロです。環境に優しい車ですが、現状ではまだ車種も少なく充電ステーションも少ないのがネックとなっています。
プラグイン・ハイブリッド車(PHVまたはPHEV)
外部充電機能がある車で、ハイブリッド車と電気自動車を合わせたようなタイプの車です。買い物や通勤など近くに行く時はモーターだけを使い、遠くへドライブへ行ったりする時はハイブリッド車のように電気とエンジンを併用することができます。また電力が無くなってしまってもエンジンだけで走ることができるので、電気自動車のようにバッテリー切れを心配する必要もありません。
燃料電池自動車(FCV)
燃料電池で発電し動く車です。燃料電池自動車の仕組みとしては、水素タンクの中に水素を入れ、空気中の酸素と化学反応させて電気を作りモーターを動くようになっています。電気自動車と同様、二酸化炭素を排出しないので環境に優しい車になっています。ガソリンの代わりに水素が必要ですので、水素ステーションで水素を入れる必要があります。
ハイブリッド車・プラグイン・ハイブリッド車の未来は?
政府の方針や諸外国の動きから見ても、ガソリン車廃止は新車販売だけに限らず、いずれ全ガソリン車が廃止の方向へ向かうことが考えられるかもしれません。電気自動車が今後益々一般的になっていくにつれ、ガソリンスタンドもなくなっていくと思われます。そうすると、ガソリン車の使用がたとえ禁止されていなくても、ガソリン車に乗る人は少なくなりますし、もちろんガソリンを使うハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車も使えない状況に追いやられてしまうことが予想されますね。
まとめ
政府が発表する方針については、自動車メーカーにとっては難しいものなのかもしれませんが、地球温暖化のことを考えると、いずれはガソリン車を廃止することは必要なのかもしれません。ソリン車の新車販売がなくなる日もそれほど遠くないですし、今から次に乗る車はどれにしようと考えておくのも良いかもしれませんね。