自動車事故と言えば、交差点や高速道路など、公道での事故を思い浮かべる人が多いかと思いますが、ショッピングモールや飲食店、コンビニなどの駐車場内でも意外に自動車事故が多いのをご存知でしょうか?
通常、私有地での事故は交通事故にはなりませんが、ショッピングモールなどの駐車場は、不特定多数の人や車両が自由に通行できるため、道路上と同じ扱いになり道路交通法が適用される場合が多いと言えます。
では、駐車場内ではどういった事故が起こりがちなのか、駐車場内で事故が起こったときはどう対処すればいいのか、また、駐車場内の事故に保険の適用はあるのかなどをご説明したいと思います。
目次
駐車場内での事故について
駐車場内は公道を走行する場合と異なり、自動車同士の距離が近かったり、信号や標識などもないため、割と自由に人や車両が行き来できてしまいます。事故に至らなくても、駐車場内で人や車などとぶつかりそうになって、慌ててブレーキを踏んだ経験のある方もいらっしゃるかもしれません。
駐車場内で起こりやすい事故はどういったものなのかをご紹介しますので、駐車場内での事故予防につなげて頂ければと思います。
駐車場内でよくある事故
駐車場内では、駐車スペースを早く見つけることに集中しすぎて、周りの人や他の車両などへの注意力が落ちてしまうことがあります。また、車庫入れが苦手な初心者などは、なかなか上手く駐車できず、少し焦ってしまうこともあるかもしれません。駐車場内はゆっくりと走行していても、事故が起こりやすい状況であると言えるのではないでしょうか。
では、駐車場内でよくある事故をいくつかご紹介したいと思います。
バックの運転で人やものに接触
駐車場では、車をバックさせて駐車させることが多いかと思います。バックの運転はどうしても周囲が見えにくく、また駐車場は狭いことが多いため、周囲の柱や壁、近くに駐車中の車両にぶつけてしまうことがあります。また、バックで駐車する際に後ろばかりを見てしまうと、歩行者と接触する危険性も高くなってしまいます。
ドアパンチ
駐車スペースでは隣の車両との距離がどうしても近いため、ドアを開けたときに、隣の車にぶつけてしまうことがあります。慌てていたり、誰かと喋っている時など、不注意でドアパンチをしてしまったことがある人もいるのではないでしょうか?また、子供が勢いよくドアを開けてぶつけてしまうこともあるようです。
車両同士の衝突や接触
駐車場内での事故のうち60%以上は、自動車同士の衝突や接触となっているようです。駐車場内は公道などと違って、見通しがかなり悪いと言えます。車が駐車スペースから発進して通路に出ようとした時や、駐車する時に車の切り替えしをおこなった時などに、通路を走行中の車両と接触してしまうことがあります。
駐車場事故と交通事故の違いは?
通常、道路上の交差点での出会い頭の事故は、左側から直進車の過失割合は40%、右側からの直進車の過失割合が60%となるかと思います。
しかし、駐車場内は公道と異なり、信号や標識などがなく、人も車も不規則な動きをしがちです。そのため、駐車場内で車同士が衝突してしまった場合、両方の運転手に過失責任があるとされ、過失割合は50:50と半分ずつになることが多いようです。
月極駐車場での事故の責任は?
月極駐車場などによく「当駐車場での事故・盗難等につきましては一切責任を負いません。」といった文言の看板が設置されてるのをよく見ますが、月極駐車場での事故の責任はどうなるのでしょうか。
原則としましては事故が起こった場合、当事者同士で解決する事となっています。ですが契約している月極駐車場の管理者の管理不足から招いた事故である場合は話が変わってきます。
例えば、駐車場内のフェンス等が破損し、車体に傷がついた・見通しが悪いにもかかわらずミラー等の設置がない。といった安全性を欠いている状況での事故である場合、月極駐車場の管理者に損害賠償請求をすることが可能な場合もあります。
管理不足により招かれた事故に関しては、「当駐車場での事故・盗難等につきましては一切責任を負いません。」といった看板を設置していたとしても効力は無いのです。
駐車場内での事故はどう対処すればいい?
では、駐車場内で事故が起きてしまった時はどうすればいいのでしょうか?事故が起きてしまうと、パニックになり冷静な対応ができないかもしれません。
事故が起きた時はどうすればいいのか、前もって確認しておいてください。事故に巻き込まれた時と、事故を起こしてしまった時、両方の対処法を見ていきたいと思います。
駐車場内で事故に巻き込まれた時の対処法
駐車場内では、人がいないからと当て逃げをしてしまう人もいるようです。車に戻った時に当て逃げされていることに気付いたら、まず警察へ通報し、事故証明書を発行してもらってください。事故証明書は、保険の適用を受ける際に必要になります。もし、当て逃げ現場にいた時は、当て逃げをした車のナンバーや車種、車の色、事故の状況などを詳しく警察に連絡してください。
もし事故に巻き込まれケガで動けないような時は、現場近くにいる人などに助けを求め救急車を呼んでもらってください。
駐車場内で事故を起こした時の対処法
もし駐車場内で事故を起こしてしまった時は、まず負傷者がいないかどうかの確認が必要です。負傷者の応急手当や、救急車を呼ぶことを第一に行なって下さい。また、事故車両を安全な場所へ異動させるなど、新たな事故が起きないよう危険を取り除いて下さい。
次に、警察へ連絡してください。警察が来たら事情聴取がおこなわれます。事故状況を警察に詳しく伝える必要があるため、覚えているうちに、事故当時の車の位置やスピード、目撃者の有無などをメモしておくと良いかもしれません。
警察への連絡後は、保険会社へ連絡することも忘れずにしてください。保険会社からも事故状況を聞かれると思いますので、詳しく報告をしてください。また、軽傷であってもケガをしているなら、病院で医師の診断を受けるようにしてください。
車をぶつけてしまった時、相手の車に誰も人がいないからと、そのまま逃げてはいけません。当て逃げは罪に問われてしまいますので、車をぶつけてしまったらすぐに、警察に連絡してください。保険会社は事故時の対応の仕方などのアドバイスもしてくれるはずですので、保険会社にもすぐに連絡するようにしたほうが良いと思います。
駐車場内での事故に保険の適用はある?
もしもの事故に備え、ほとんどの人が自動車保険に加入しているかと思いますが、駐車場内での事故にも保険の適用はあるのでしょうか?
駐車場内での人身事故の場合
私有地であっても、ショッピングモールやコンビニなど、不特定多数の人や車が自由に行き来できる駐車場は、道路交通法の適用を受けるため、駐車場内の事故は交通事故として扱われます。警察へ届出をすれば「交通事故証明書」が発行されますので、保険の適用もあります。
人身事故の場合は、自賠責保険や任意保険の対象となります。しかし、私有地での事故は、交通事故証明書が発行されない場合もあります。私有地における事故に保険が適用されるかどうかは、契約している保険によって異なるようですので、詳しくは保険会社に聞いてみてください。
駐車場内での物損事故の場合
駐車場内での物損事故の場合、相手の車に傷をつけてしまった場合は、対物賠償保険での補償を受けることができます。駐車場内の柱や壁、フェンスなどを壊してしまった場合なども、対物賠償保険の適用を受けることができます。また、自分の車が傷ついてしまった場合は、車両保険で補償を受けることができます。
まとめ
駐車場内は狭く、見通しも良くないため、思わぬところから人や車が出てくることがあります。普段は安全運転を心がけていても、駐車場内では注意力が落ちてしまうこともあるようです。駐車スペースを探すことに集中しすぎないように、周囲の様子もよく見るようにしてください。
また、駐車場内は、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故も起きやすい場所でもあります。年齢を問わず起きているようですので、そういったリスクもあるということを覚えておいてください。
最近はドライブレコーダーをつけた車が増えてきていますが、ドライブレコーダーは、もしもの事故や当て逃げの際にとても役に立つと思います。ドライブレコーダーを設置しておくのも良いと言えるでしょう。